「ありがとうございました!」
カメラマンから声が掛かり、今日の撮影が終わったようだ。
私は今、とある現場にお邪魔している。メンバーの誕生日へ向けてどうやら動画を投稿するらしく、その撮影現場にお呼ばれしたのだ。
センターで踊る彼女が、今日私がインタビューさせていただく相手だ。溌剌な表情で、メンバーを引っ張るだけでなく、時にはコミカルな言動で空気を変える力をもっている。
タイミングを見計らって、私は彼女へと声を掛けた。
「あの、撮影お疲れ様でした!」
「あ!お疲れ様です!!えっと、インタビューでしたよね!」
「はい、さらいんと申します。なっつんさん、本日はよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
このままでいいですかね?と彼女は笑った。全然大丈夫です、私も座りますね、と断りを入れて腰を下ろす。床はなんとなく落ち着く。
「ストレッチしながらでも大丈夫ですか?」
と彼女は応えた。大丈夫です!と答えると、さらいんさんも正座なんて堅苦しいんで……と、笑いかけてくれた。
お言葉に甘えて、自分も1番落ち着く体勢を取った。
─では早速今回の取材について説明させていただきますね。今回の取材は、企画のひとつでして……題しまして「My Favorite Liella! Costume」好きなLiella!の衣装についてゲストさんにお聞きし、より衣装のことをゲストさんにも、そして読者の皆さんにも好きになってもらおうという企画です。原宿を散策しながら「自分の好きな衣装」について考えていた時に企画を思いつき、こうして始めた次第です。踊ってみた!をやられており、コピーユニットとしても幅広く活動されているなっつんさんに、今回はインタビューをしていきたいと思います。
「お手柔らかにお願いします!」
ーそれでは一つ目の質問から。好きな食べ物は何ですか。
「あ、そんな感じなんですね。(笑)私は、粉ものが好きです。特にたこ焼き!」
ーたこ焼きですか!
「粉ものそれ自体の味が好きというのもあるんですが、基本的にお好み焼きにしろもんじゃにしろ、他人と一緒につつくのが基本スタイルじゃないですか。そういう料理は他にもいくつかあるとは思いますが、肩肘張らずに気軽に誘えて、目の前で出来ていく過程も一緒に楽しめて、同じ鉄板を囲んでワイワイ食べられるという意味で粉ものが全般大好きです。私は現在Liella!のコピーダンスユニットで活動をしているんですが、この前メンバーとたこ焼きパーティー兼ライブ鑑賞会をしまして。やいのやいの言いながらたこ焼きをつつくのがめちゃくちゃ楽しくて美味しくて、たこ焼きを1番にあげました。こんな活動をしています!」
ー仲間とわいわいやりながら、たこ焼きを作る。最高に楽しい時間ですね。動画も拝見させていただきましたが……数多く投稿されていて、何度も見てしまいました!続いて、好きな言葉を聞いても宜しいですか?
「好きな言葉……だと難しいですが、モットーは『出来るかどうかじゃない、できた時に楽しいかどうかだ』です。」
─なるほど……。なんだかどこかの言葉に似ているような、似てないような。理由などありますか?
「私は頭でっかちというか、結構頭で色んなことを考えてから行動に移すタイプというか、つい始める前に色々なことを尻込みしてしまうところがあるんです。先述したLiella!のコピーダンスユニット以外にも、結構長いことラブライブ!シリーズのコピーダンス活動を続けているんですが、ステージで発表したり動画を公開するようなものって、同じ二次創作であっても絵とか文章などに比べてその場一発勝負なぶん、なかなか思い切りよく"やるぞ!"って言えないことが多くて、それもあっていろいろなことにやりすぎなくらい慎重になってしまった時期があったんです。そんな時にラブライブ!無印の劇場版を見返していたら、一言一句正しいわけじゃないんですが穂乃果ちゃんが似たようなことを言ってて。「これだ!」って思ったんです。」
本気ですか?
今から間に合うの?
そうよ!どれだけ大変だと思ってるのよ
時間はないけど、もしできたら面白いと思わない?
いいやん!ウチは賛成!
面白そうにゃー
じ!実現したらこれはすごいイベントになりますよ!?
えへっスクールアイドルにこにーにとって不足なし!
そうだね!世界でいちばん素敵なライブ!
たしかに、それは今までで一番楽しいライブかもしれませんね!
みんな!
「できた時に楽しそうだったら難しくてもまず飛び込んでみる。提案してみる。そう決めてからは周りにすごくポジティブな人が増えたり、このインタビューもそうですけど、たくさんの企画やステージにお声がけいただくチャンスが増えた感じがしています。やっぱり"やるったらやる!"ってマインドの人のところには良いチャンスが巡ってくるものなんだなと実感して、出来るだけ色んなことへの挑戦を恐れないようにしています。」
─「やるったらやる!」という彼女の言葉に、こんなにも引っ張る力があって、なるべくしてなったμ'sのリーダーであり、その想いを投影して生きるなっつんさんだから、人が集まるのですね。それでは、徐々にLiella!の話へと移っていきます。「ラブライブ!スーパースター!!」の好きなキャラクターとキャストさんは誰ですか?
「キャラは唐可可ちゃんが好きなんですが、キャストの推しは伊達さゆりさんと絵森彩さんです。」
「可可ちゃんは、天真爛漫な一方で強がりなところや、身体能力では劣りながらもそのぶんスクールアイドルに対する熱意は誰よりも持っているところなど、共感できる部分が多くて好きになりました。1期3話のだいじょうぶ、だいじょうぶ…って自分に言い聞かせているシーンがとどめでしたね。ああいうのに弱いんです、私…!」
「大丈夫……。大丈夫……。大丈夫……。」
「可可ちゃん……。」
〈ラブライブ!スーパースター!!TVアニメ第3話「クーカー」より〉
「推しが凛→千歌→せつ菜と来ているので多分かのんちゃんだろうな…と思ってたので、自分でも意外です。もちろんかのんちゃんのことも大好きですが!」
「伊達さゆりさんに関しては、先述したLiella!のコピーダンスユニットで彼女の踊るパートを担当させて頂いているんですが、そのなかで気が付いたら好きになっていました。コピーするためにライブやファンミーティングの映像を食い入るように観ているうちに動きのクセやファンサの全力さというか、小さい身体を全力で動かしている感じがすごく可愛くて…。」
「絵森さんは最初に2期生の発表があった時の一目惚れでした。率直にいうとビジュが好きです。」
─それぞれの推しへの愛を存分に語っていただきありがとうございます。映像を食い入るように見ていたらそれは……好きになってしまいますね。では、次に好きな楽曲は何ですか?
「たくさんあるのですが、ひとつだけ挙げるとしたら『Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!』です!」
─Liella!のデビューアルバムの「始まりは君の空」のカップリング曲ですね。どうしてこちらを?
「振り付けがめちゃくちゃかわいいのと、わちゃわちゃ感というか、夏フェスでポップなバンドとかアイドルグループがやってそうな、突き抜けるようなテンション感がすごく好きです。最初に楽曲を聴いた時にパッと思ったのが、めちゃくちゃMrs.GREENAPPLEっぽいなってことでした。そうでない楽曲ももちろんあるんですが、『青と夏』とか『サママ・フェスティバル!』みたいな、底抜けに明るい曲が印象的なバンドだと私は思っていて、らっぱっぱ!という印象的なフレーズとか、リズム隊の雰囲気が似ているな、と。」
─ミセスですか!これまた新しい捉え方ですね。
「数年前夏フェスに行った際、偶然彼らのパフォーマンスを目にする機会があったんです。バンド自体もそうなんですけど、最前の方で盛り上がっていたのが高校生くらいの女の子たちだったのがすごく記憶に残っていますね。ラブライブ!シリーズの作曲が出来る子って、今まではどちらかというとクラシック畑でピアニストやってる子だったと思うんですけど、かのんちゃんはそうじゃなくて、最初の地点でギターを弾くことが明かされていて。どういう音楽に触れてきた子なのかな?と思っていた時にシングル『始まりは君の空』でこの曲が発表されて、すごくそれが腑に落ちたというか、フェスで盛り上がってた高校生たちと澁谷かのんが私の中で重なったというか、かのんの音楽遍歴やルーツを感じた、じゃないですけど、そういうノリの曲なのかな?と思って。特に歌詞の中に季節は出てこないんですが、真夏の青空の下でなーんにも考えずに盛り上がれるような雰囲気が好きな曲です。」
─先程振り付けが凄く可愛い、とも仰っていましたよね?
「そうなんです!振り付けもすごく可愛くて、Liella!の曲って決めどころがカッコいい振り付けの曲が多いんですけど、この曲はちょっと違うなって思うんですよ。"らっぱっぱ!"とか"だんしんはー!"っていう、タイトルにも使われるフレーズの際に縦にぴょんぴょん跳ねてみたり、Liella!の曲には決めどころで両手を重ねて星のマークを作るポーズがよく出てくるんですけど、この曲ではハートを作る振りがたくさん出てきたり。なんていうか、わちゃわちゃかわいくて、等身大の高校生っぽい雰囲気を感じるんですよね。澁谷かのんをはじめとする『今この時代に青春を送る高校生としてのLiella!』のカラーをしっかり出しつつも、頭を空っぽにして楽しめて、すごく好きな曲です。」
─なるほどなるほど。コピユニをされている方ならではの視点ですね。特にこの曲は、星よりもハートの方が多いとは知りませんでしたね。それでは、本題に入ります。好きなLiella!の衣装は何ですか?
「それアリ?って自分でも思うんですが、結ヶ丘女子高校の普通科制服です(笑)」
─いやいやいやいや、待ってください。斬新すぎませんか?え、ちょっとインタビューが面白くなってきたのですが……(笑)その……理由を聞いても宜しいですか?
「えーっと、長くなりますがいいですか?(笑)」
─勿論でございます。存分に語ってください。
「まずあの制服って、結ヶ丘の前身となる神宮音楽学校の制服と同じデザインである、という背景があるわけじゃないですか。恋ちゃんが2020年代に高校1年生だとすると、概ねですが2000年代はじめの生まれということになります。そこから逆算すると、結ヶ丘の創始者である恋ちゃんのお母さんが当時廃校になってしまった音楽学校に在籍していたのはざっくり1985〜1995年ごろかなと思うんですが、当時感覚でいうと、あの制服ってぶっちゃけ結構ダサかったんじゃないか?と実は私は思ってて。」
─なっつんさん、意外とバッサリ言いますね。(笑)
「そう思ったので(笑)今でこそすごくトレンド感のある、洗練されたデザインに見える制服ですが、当時って神宮音楽学校のような黒や紺、グレーといったワントーンの制服を脱却して、それこそ音ノ木坂みたいな、チェックのスカートやリボンにブレザーのデザイナーズ制服が流行り始めた時期だったと思うんです。思い違いだったらすみません。」
─いや、確かにそんな印象がありましたね。
「大都会東京のど真ん中で、田舎に比べたら音楽を学べる学校の選択肢もかなり数があるなかから志望校を選べる女の子からすると、学校の実績や諸活動などに並んで『制服の可愛さ』って実はかなり重要だったんじゃないかな?と思うんです。音楽学校ってことは、多分制服で他の学校と競うようなコンクールやステージに上がる機会も多そうじゃないですか。その分やっぱり『目に止まる制服』ってすごく大事な要素だと思うんですよ。だから、当時神宮音楽学校廃校になるほど生徒が減ってしまった原因の一端には、当時感覚での制服のダサさもあったんじゃないかな、と思っています。」
─言われてみると、自分が高校受験をする時「制服が可愛いから」という理由で。、高校を選ぶ子もいましたね。
「ですよね。でも、結ヶ丘女子高校の制服はあのデザインを継承されたんですよね。新設校なら新しくデザインを有名デザイナーに依頼するなりすれば、生徒数を増やす宣伝文句にもなったんじゃないでしょうか?そういった選択肢もあるなかで、同じデザインの制服を継承し採用する。その決断と行動に、すごく恋ちゃんのお母さんの学校に対する願いというか想いを感じますよね。なんというか、『街の風景として、その制服を着た女の子がその辺を歩いているような、そんな光景がずっと続いてほしい』というか、そういう想いを私は感じました。お母さんが学校を作っていく中のどのタイミングで亡くなられたのかはわかりませんが、のちに娘の恋が生徒会長として制服の選択を自由化したことは、お母さんにとっても嬉しいことだったのではないかな?と思います。」
「いえ。科によって制服で区別するのではなく、自由に選べるようにした方がいいと、理事長から提案がありまして。」
〈ラブライブ!スーパースター!!TVアニメ第9話「君たちの名は?」より〉
─母から娘へ。制服を通じて想いは結ばれていることが伝わってきますね。
「そして、これがいちばん重要なんですが、かのんが『本当の意味で歌えるようになった』はじめてのステージで着ているのが、他でもないこの制服なんですよね…。」
「歌うことができなくなったかのんが可可の後押しでLiella!のなかでは歌うことが再びできるようになって、それでいいと思っていた中、"それじゃダメだ"と考える千砂都に背中を押されるかたちで、言っちゃえば、なかば無理矢理一人でステージに出演することになるわけじゃないですか。」
─そうですね。幼馴染故の厳しさと言いますか、千砂都なりの想いやりだったとは思います。
「はい。そしてそこで過去のトラウマを乗り越えて『私のSymphony』を歌うとき、彼女が着ているのはスクールアイドルとしてのステージ衣装ではなく、結ヶ丘の学生であること、高校生であることを象徴する制服なんですよ。ここ初めて見た時ちょっと泣きましたもん(笑)」
─泣かずにはいられませんでしたね。
「『スクールアイドル・Liella!』というかたちに留まらず、夢に向かって踏み出す年齢のひとりの女の子して、初めてひとりで歌を届けるのに、こんなにふさわしい晴れ着は他にないと思います。『思う形と違ってもそっと両手を伸ばしたんだ』『ぎこちなく刻む一歩が ぱっと鮮やかに世界を変えてく』といった歌詞のひとつひとつが、不本意な形で結ヶ丘に進学したかのんがスクールアイドルと出会い、思っていたものとは違う形でありながらも探り探り歩み始めて、ついには結ヶ丘を背負って立ち、『歌でみんなを笑顔にする』いう夢に向かって踏み出していく彼女のストーリーと重なるようで、またその時彼女が纏う制服も、廃校になってしまった高校という過去の流れを汲みながら、新しい学校として生まれ変わって一歩目を踏み出した学校の象徴として彼女とリンクしているようで。」
「迷ったり立ち止まったりしながら夢を追いかける、『青春というステージでのいちばんの衣装』としての意味で、1番好きなのはやっぱり結ヶ丘の制服です。」
─あの、すみません……聞きながら、涙が止まらなくてですね。あの、本当に、すみません……。
「な、泣かないでください〜!いや、でも本当に制服って、スクールアイドルとして最高の晴れ着でもあり、勝負服だなって思ったので。今回語らせてもらえて嬉しかったです」
─こちらこそ、あの、本当に……素敵なお話をありがとうございました。それでは、最後にここまで読んでくださった皆様へメッセージをお願いします。
「長い記事になってしまいそうで大変恐縮ですが、読んでいただきありがとうございました!長々と語ってしまいましたが、私の好きが少しでも皆さんに伝わるととても嬉しいです。みんなとラブライブ!の話したいよ。そして宣伝ですが、わたしの所属するLiella!コピーダンスユニット『Ashulla!』は、8/24にライブを行います。Liella!が大好きな方、お暇のある方はぜひお越しください!」
【ライブ詳細】
— Ashulla! (@Ashulla_dance) 2023年6月16日
お待たせしました!
Techours(@LLtitechdance )とのツーマンライブの詳細発表です🤩
お友達いっぱい誘ってきてください、待ってます‼️🥺#twiLiGHTPARTY #Ashulla #Techours pic.twitter.com/zGogdkTi8X