ほのぼのとした田舎暮らし

ほのぼのとした田舎暮らしをしているような…そんなゆったりとした言葉を贈ります

伊波杏樹さんオンライントーク会〜備忘録〜

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  4月5日。

  息を吸って、吐いて。吸って、吐いて。

 

  どれだけ深呼吸したかも分からないし、自分がきちんと空気を取り入れているのかさえも分からない。

  新年度、職場の空気が一転するこの季節は、いつもこうだ。どこか慣れない仕事をしていて、とても心が落ち着かない。

 

  でも、それだけじゃない気がする。

 

  ソワソワとしながら時計を何度も見やる。印刷物なんて、頭の片隅に追いやってしまいたい。そのくらい気が散っていることが自分でも分かる。

 

  カチカチ。カチッ。

 

  時計の長針が12を指し、短針が7を指した。19時だ。

  ポケットから素早くスマホを取り出し、メールを確認する。何度もスライドして、更新を続ける。そして、ようやくその瞬間が訪れる。

 

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「あ……あぁ……」

 

  言葉が零れた。いや、言葉にすらならない感情が溢れた。200名という大きな壁。最推しがこれまでやって来なかったであろうオンライントーク会。

  思わずそこに座り込んでしまうくらい嬉しかった。結局その日帰ったのは、21時近くだった。なぜか嬉しすぎて残業代も出ないのに、進んで上司の仕事を手伝っていた。おかしい。

 

 

  4月15日。

  当落から10日経った今日、伊波杏樹さんとお話をする日だ。

  結局、何を伝えるかあれこれ考えたけれど、伝えたいことは変わらなかった。「感謝」と「信念」は伝えるべきだと思った。

  昼頃に、何故かフッ軽人間な私は、先週も会話した斉藤朱夏さんの先行上映会に参加し、登壇した斉藤朱夏さんを拝んだ。

  目が眩むくらい眩しい斉藤さんと、その言葉の余韻に浸りながら、急ぎ足で電車を乗り継ぐ。車窓が流れていくのを横目に感じながら、一応メモに話す内容を纏めたのだが、しっくりと収まるような感覚はなかった。 

  最寄り駅に到着し、焦らず、安全に……おっと。スニーカーの底と、階段の端同士が噛み合わず、滑り落ちそうになった。咄嗟に手を後ろに手を着き、なんだか変な格好をすることで、怪我を免れた。

 

「はは、アニメかよ……」

 

  独り言は、誰にも聞かれることはなく、テンプレのような展開に、更に心拍数は加速した。いつも以上に右左、足元、前方を確認しながら帰ること数分。 

  ようやく家に到着した。

 

  18時23分。

  それが私が予約した時間帯だ。その時間に、私は伊波さんと話すことが出来る。出来る……本当に?と、まだ夢なんじゃないかと疑う自分もいた。

  刻一刻と迫る40秒。

  背景よし、服装よし、顔よし、髪型よし。

  入念に確認した上で待機する。

  ふと自分の異変に気付いた。

  指先が震えている。鳥肌が立っている。心臓がうるさいくらいに鳴っている。斉藤朱夏さんと話した時とは、全く違う。いや、それ以上に何かが違う。

 

「……ふぅ……」

 

  緊張しているのか、自分は。あれだけ人の前に立ってきたのに、オンライントークなのに、こんなにも人は緊張するのか、と初めて痛感した。 

  おまじないをするように「大丈夫。大丈夫」と、自分に念じた。笑えるだろうか。笑ってくれても構わない。

  みっともないくらい何度も言葉を練習して、沈黙した時間が嫌で、独り言で誤魔化そうとする私の姿は、あまりにも滑稽に見えた。

 

  カウントが進む。速い、いやゆっくりと。

 

  いつか、望んでいた夢。それが、今だった。待ってた、この日をずっと待ってた。そのくらい緊張していた気がする。

  だから、私は……考えることをやめた。

 

さらいんさん!

  繋がった。点と点で動いていた私と、伊波さんの人生が重なった瞬間だった。

  さらいんさん。誰だ、あぁ、私か。なんで私の名前を知っているんだろうか。そうか、TLで見てた限り、伊波さんは事前に名前を把握しているみたいだ。だから知っているのか、そうか。

  でも、なんだ、その語りかけるような優しい声は。嬉しそうな声は。

こんばんは!さらいんです!

  震えなかった。笑えた。よし、大丈夫だ。滑り出しは完璧だ。演じるんだ、さらいんという人間を。推しと出会えて、話せて、幸せな笑顔の自分を。

こんにちは!

こんにちは!あの、伊波さんに伝えたいことがあるんですけど……。

  スラスラと演じている自分が声を発する。何度も何度も練習した想いを乗せた言葉を、届けようと動け、叫べ、と心の奥底にいる誰かが叫んでいる。

うん。

  伊波さんは、笑って、頷いて、私の話を聞いてくれている。あぁ、この目だ。私は、この目が好きなんだ。

大袈裟かもしれないのですが、高校生の時に伊波さんと出会ってから、私の人生は変わりました。出会ってくださり、本当にありがとうございます。

  SNSでも、ブログでも、手紙でも。ずーっと、ずっと伝えてきた言葉。想い。私の行動の軸でもある、始まりの高校生。

  あの日、あの時、貴方に出逢えてから、私のモノクロだった世界は、カラフルに彩られた。冬の寒さに凍えていた心が、春の温かさに包まれていった。

  その想いを、直接伊波さんに私は伝えた。伝える以外、考えはなかった。

私はそのお手紙を読んで、力になってました。

  そう返す伊波さん。あぁ、力になれていたんだ。と喜びを噛み締める自分がいた。ただ、泣かない。泣いちゃいけない。笑顔のさらいんでい続けなきゃいけない。

  だって、笑った顔の方が伊波さんも嬉しいじゃないか。そうだろう?

  誰に語りかけているのか分からないが、心の中で誰かと誰かが、会話のキャッチボールをしている気がした。

はい、ありがとうございます!あの、ずっと理想の女性です。

  伊波さんの言葉を受けて、応対する。咄嗟に出てきたのは、やっぱり感謝の言葉と……「理想の女性である」という、長年核たる部分に持ち続けた私の信念だった。

  伝えたいことは伝えられた。正直に言うと、この時点で少し言葉に詰まった。言葉を迷ったのだ。そんな私を救うように……伊波さんは、手を差し伸べてくれた。

さらいんさん、ずーっと私にそういうお手紙を贈ってくれてたじゃない?
はい。

  これでもかと、毎回その想いを伝えていた気がする。言われて、「確かにそのことは必ず書いていたな」と、頭の片隅でぼんやりと考える自分がいただけで、違う別の世界線がそこにいたような気がした。

  条件反射で相槌や返事をするのは、運動部の癖だろうか。基本的なことをしているだけなのだが、私は今、理想の女性と話しているからこそ、より一層意識をしていたようにも思える。

で、知ってたの。取り組んで、私に伝えてくれてる想い。全部届いてたからね。

  世界が止まった。止まったように見えた。だけかもしれない。「知ってたの。取り組んで、私に伝えてくれる想い。全部届いてたからね。」という言葉。走馬灯のように、過去の記憶が蘇った。

 

 

 

 

  右も左も分からず始まった誕生祭企画。何もかもが初めてで、それでも作り上げた初めてのフォトアルバム。

 

 

  3rdの大きな"挑戦"。その挑戦を後押しするような形、応援という想いを込めて折った鶴たち。

 

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  東京ドームに立つ。Aqours伊波杏樹さんを応援したくて、したくて……始めた応援メッセージ企画。この4thライブで出逢った人達は、大切な仲間です。

 

 

  2年目のフォトアルバム企画。沢山の方々と一緒に贈らせてもらったのだが、バージョンアップも求められた。

 

twipla.jp

 

  5thライブ。会場との兼ね合いもあり、代筆という形にはしたが、また違った空気感で贈ることが出来たことが嬉しかった。

 

 

  夢を叶えた伊波さんへ贈った3度目のフォトアルバム。丁度、「cartes Á jouer」という切り札というテーマでのイベントがあったのも懐かしい。

 

 

  一人ひとり、全く違うメッセージカード。大輪の花束を贈った4年目のフォトアルバム。新しい挑戦をさせてもらった。

 

 

  5年目。「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours EXTRA LoveLive! ~DREAMY CONCERT 2021~」に感化されて、1ヶ月という短い期間で作成したのも今はやって良かったと思える。

 

 

  2月の〈OCEAN STAGE〉で伝えたくなった想い。それを形にするために、ハッシュタグ企画を行って、1週間で演奏&録音というのは二度とないだろう。

 

 

  スケジュール管理とメンバー集めに奔走したキャスト推し座談会。とにかく楽しかった。

 

 

  2度目の#SUKI_for_Aqoursは、想いも更に倍増。これでもか!と全力で臨んだ。

 

 

  2度目の東京ドーム。その場所に立つ伊波杏樹さんを応援したくて、やりたくて……みんなで言葉を紡いだ。

 

 

  6年目は、演奏にも挑戦。「また会えるよ。」という楽曲が、より大好きになった。

 

 

 

  長いような、短いような。その刹那の出来事を、私は一生忘れないだろう。これまであげてきたものの他にも作成したプレゼントやイラストの数々。

  その全ては、伊波さんと出逢わなければ、有り得なかった世界線の物語だ。

  私にとって伊波さんとの出逢いは、私の人生にはとびっきりのプレゼントだったみたいだ。遠く離れていても、ココロはずっと一緒だった。

 

  届く。想いは……届く。届くんだ。

 

はい。

  堪えきれず、顔を抑えた。涙が溢れ、声が震えた。あぁ、やっちまった。やってしまった。折角笑顔だったのに、これじゃあ本末転倒じゃないか。だから笑うんだ、って歌詞を書いたのに、自分が笑えなくてどうするんだよ。はは。

  なのに、貴方は、伊波さんは、私にエールをくれる。エネルギーをくれる。そっと明かりを灯す。

だから、さらいんさん、これからも"一緒に"頑張ろうね!

  "一緒に"と、伊波さんは言った。私が、いつも誰かに応援の言葉を投げ掛ける時に心掛けていることだ。

  人間、頑張っている人しかいない。生きてるのに必死だ。だから、"一緒に"頑張りましょう、って私は言うようにしている。頑張れ、ってなんか相手しか頑張らんみたいに聞こえるから。

  常日頃贈り続けていた言葉を、まさか伊波さんから貰うとは思わなかった。そして、その言葉にどれだけ力を貰ったことか……なんて素敵な言葉なんだろうか。

はい、一緒に頑張ります!

  答えた。1番ってくらいの声で、応えるしかなかった。自然と顔は笑っていた。ぐしゃぐしゃな顔だけれども、満面の笑みで、伊波さんに笑い返した。そして、画面越しに小指が掲げられた。

うん、約束!

  誓いを立てるように、小指を掲げる伊波さん。本当に本当に、会いたかった。あふれる想いを全部ぶつけた。

  脳裏に過ぎった「なんどだって約束!」という曲と、東京ドームでの開幕、ダブルアンコールの景色。全ての道が合流して、今ここに新しい約束が生まれたような気がした。

はい、約束!

  咄嗟に小指を掲げた。伊波さんと、ぎゅっと約束を交わした。キミとなら頑張れる、そう言わんばかりの笑顔が眩しかった。

また会おうね!
ありがとうございます!

  約束しようよ、ってきっと伊波さんは言ってたんだ。そして、また会おうね、って。

  また会えるよ、って不思議と思えた。またあえる日まで、頑張れる。

 

  頑張れるのは、約束があったからだ。

  約束があってよかった。そう言える日が来るまで、また"一緒に"伊波さんと頑張ることにしよう。

  笑顔で手を振る伊波さん。全力で返した。

 

  トークが終了した瞬間、堪えていたものが溢れた。

  伝わった、伝えきった。

  届いた、 届けた。 

  もらった、もらってしまった。

 

  約束。

  私はどうやら……伊波杏樹さんが、心の底から好きみたいだ。

  人生を縣けるくらい、命を懸けるくらい、大好きみたいだ。

 

  "憧れは、理解からもっとも遠い感情"

 

  この距離感がいいんだって思えた。

  呼び捨てとか、タメ語とか、きっと私はそうじゃないんだって。

 

  伊波さんは、伊波さんで。

  私は、私で。

 

  お互いに交わる瞬間は、そう多くないのかもしれないけれど、あの人が歩んできた道をなぞるように、私も私の道を歩み続けていけばいいんだって思えた。

 

  いつか、また会えたねって。

  それまで私は、私の物語を紡ぎ続けようじゃないか。

 

  ……光る汗を大量に流しながら、1つ。

  心に残った感情を、大切に抱きながら。