「彼女たちが見つけた光の海…」
彼女たちは羽ばたく、想いを背負って。
彼女たちは輝く、想いを解き放って。
そしてまたひとつ、小さな夢が生まれる…。
おはようございます、こんにちは、こんばんは!お久しぶりです!遅れまして12話カタ語るです!!が…新鮮味がないかも知れませんが…今回はより一層力を蓄えております。はい、1番最後に解き放つつもりが…想像以上に深く深く浸っていました。暖めに暖め続けたこちらのブログ、読んでくださる皆様に感謝の想いと共に、物語を綴っていきます。
イントロ
「忘れ物ない?」
「大丈夫」
「素敵な閉校祭だったね」
「うん!だから全力で出来ることは全部やって挑まなきゃね!」
<ALL FOR ONE>
一人教室の自分の席に座り、「ゼロ」と書かれた得票数を見つめる千歌の元へ声をかける曜。ずっと千歌と同じ景色を見たかったと話していた彼女の瞳に迷いはありません。
「梨子ちゃん!」
「そうだね!この時の為に、すっごく練習したんだもん!」
廊下…何度も何度も、千歌が梨子をスクールアイドルへと誘うために奮闘した場所。彼女の瞳にも迷いはありません。
「確かに。毎日朝も早くから、夜も遅く暗くなっても」
「頑張ルビィしたから!」
生徒会室…ダイヤとの始まりはここからだった。何度も何度も申請を拒否されて、でも繋がった。ダイヤもルビィも姉と妹と一緒にスクールアイドルをやるという夢が叶った。彼女たちの瞳にも迷いはありません。
「それでも、みんな一度もさぼらなかった」
「弱音は言ったけどね」
理事長室の前で待ち構えていた果南と鞠莉。すれ違いを通して、また一段と強い絆で結ばれた2人。彼女たちの瞳にも迷いはありません。
「とにかく朝は眠かったずら、ねっ?善子ちゃん」
「ヨハネ!流石我がリトルデーモン達よ…褒めてつかわす!」
自分のやりたい気持ちをずっと内側に秘めていた…けれど、「やりたい」という気持ちと「好き」という気持ちがあればいいのだと気づくことが出来た花丸と善子。彼女たちの瞳にももちろん迷いはありません。
「行ってきます!」
「「「「行ってきます!」」」」
校門に立ち、その校舎を見つめる9人。浦の星女学院の名を刻むため、彼女たちの挑戦は始まる。想いを気持ちに込めて…さよならじゃなく、またこの大切な場所に帰ってくるために。
Aメロ
<陽だまりのリハーサルスタジオ>
決勝大会のために東京へとやってきたAqours。以前のように東京の路線図に迷うダイヤはいません。相変わらずの善子と梨子のやりとりに場は和み、本番前に挨拶へと向かう9人。
「Oh!変わらずBeautiful!!」
「急な階段だったずら…」
「でも、前来た時に比べたら楽じゃなかった?」「そういえば」
「成長って気づかない間にするもんだよ」
「よし、じゃあお祈りしようか」
向かった先、それはスクールアイドルたちの想いが集る神田明神。神田明神の階段は急なことで有名でもあり、初めて訪れた時は息が上がっていましたね。しかし、今回はその成長を見せつけてくれましたが、その成長というのはやはり自分自信が気付かないものなんですね。以前私は姉妹の間の成長は気づかないと記しましたが「自分」という存在に近ければ近いほど気づくことが出来ないという裏付けでもあると思います。(自分>家族>友人といったように)
「お姉ちゃんとして接されているわけだからわかんないけどさ、家族間の成長って分からなくない?そりゃ小さい時から比べたら、料理ができるとかそういうのは分かるけど…成長したってのは、家族じゃ分からないと思うんだよね
「会場の全員に思いが届きますように…」
「全力を出し切れますように…」
「緊張しませんように…」
「"ずら"って言いませんように…」
「全てのリトルデーモンに喜びを…」
「浦の星のみんなの思いを…」
「届けられるような歌が歌えますように…」
「明日のステージが最高のものになりますように…」
「ラブライブ!で優勝出来ますように…」
それぞれの願いを口にして参拝するAqours。
ふと見ると、たくさんの絵馬が飾られ、その中にはAqoursへのメッセージが込められたものも多くありました。
その中に見つけた強い想いたち。
「千歌ちゃん!これって…」
「こっちにもあるよ」
「こんなにもスクールアイドルが、ここで祈願していったんだ…」
「たくさんあるずら」
「私達だけじゃない。みんな勝ちたくてここに集まってる」
この決勝大会へとかける想いは、みんな一緒。誰だって思い出だけじゃない、勝利を目指してやってきているのだと改めて気を引き締めるAqours。
「お久しぶりです」
「聖良さん!」
「理亞ちゃん!」
「遂にここまで来ましたね」
「ビビってたら負けちゃうわよ」
「分かってるわよ!」
「アキバドームは今までの会場とは違うずら…」
「どんな所か想像出来ない…」
Saint Snowの2人も歴史的瞬間、スクールアイドルの頂きに立ち会うために、そしてAqoursの輝きを見届けるため…。この神田明神は初めてこの二つのグループが相対した瞬間の場所でもあります。
「私も、あのステージで歌えた事が今でも信じられない」
「自分の視界全てがキラキラ光る。まるで雲の上の漂ってるようだった」「雲の上…」
<素直になれなくて>
スクールアイドルの頂点を決めるラブライブ!の決勝大会のステージから見た景色は、あの舞台に立った者しか分かりません。雲の上と聞いた時、真っ白な雲が下にあって、ふわふわと漂う現実味のない空間を思い浮かべるのではないでしょうか?雲の上からの景色…私たちは飛行機やヘリコプターといった手段がなければ見ることは叶いません。その過程を省いて空を飛んでいると錯覚するくらいに、あまりにもその瞬間の景色が感情が夢か現か、境界線がぼんやりとしてしまうんですね。
「だから、下手なパフォーマンスしたら許さないからね!」
「当たり前だよ!頑張ルビィするよ!」
「また一緒に歌おうね」
「うゅ!」
函館で手を取り合って完成させた「Awaken the Power」そのLIVEを経て、ルビィと理亞は大きく成長しました。その成長を暖かく見守るダイヤの眼差しと言ったら…。
「初めて会った時、なんて弱々しいんだろうって思ってました。でも、今の皆さんを見て思います。なんて頼もしいんだろうって」
初めて会った時、それは東京でのスクールアイドルのイベントの時。あの時は千歌たちは6人しかいませんでした。そして、どこか浮き足立っているような…そんな風にも見えたのかも知れません。ですが、数々の困難を乗り越え、練習を積み重ね、今彼女たちは優勝候補まで上り詰め、そして決勝大会へと臨んでいます。廃校という壁を踏み台に更に大きく、高く跳ぶAqoursの羽ばたき。
「勝ちたいですか?…ラブライブ!勝ちたいですか?」
1期第12話「はばたきのとき」にて千歌が聖良に向けて投げかけた質問を、今度は聖良が千歌に向けて問いかけます。今の彼女にとってラブライブ!とはなんなのか、どんな気持ちで臨むのか…。
「たしか前にここでライブに参加した時も、こんな感じだったよね」
「うん…注目されて、いけるんじゃないかって思って…でも実際は…」
夢と現実は違う、挫折を思い知らされた前回のイベント。獲得票数は…「ゼロ」
その悔しさをバネに彼女たちは歩んできました。
「大丈夫!」
「信じましょう、今までやってきた事を」
「少なくとも私はどこにも負けないって思ってるよ」
「私達、ラブライブに優勝して、浦の星の名を残して…それで良いんだよね…それで」
その時は6人、でも今は9人。苦労の末に繋がった3年生の言葉は、今はこのグループの中で何よりも力強い言葉ではあると思いますが…それでもまだ千歌には迷いがあります。
「良いですね~、イタリアに行ったらもうこんな事出来なくなるからね」
「うちの妹に何をしてくれてますの?それに明日はラブライブ!の決勝…」
「ダイヤもしばらくの間に随分身体が訛ったんじゃないの?」
「あ・な・た・た・ち!?私を本気にさせましたわね!」
<Slumber Party>
暗雲立ち込める雰囲気を取り払うかのように曜が投げ出し、突拍子に始まった枕投げ。3年生はそれに乗り気な様子。あまりの3年生の投げ合いに、1年生は隅っこでオロオロとしています。肝心の2年生はというと…
「千歌ちゃん!」
「元気出た?」
「本番前なのにこんなことしてるっていいと思わない?いつもの私たちっぽくって!」
曜なりの千歌を励まそうと思った結果。ちゃっかり枕をしっかりとキャッチしているあたり、ソフトボールを得意としている千歌の設定が活かされているのかなと思いました。
「ふうっ…えらい目に遭った…」
「曜ちゃんが悪いんだよ」
「ふふふ」
「春とは言え、まだまだ冷えるね」
「行きたかった?
「えっ?」
「音ノ木坂」
「そうなの?」
「ちょっぴりね…今だから確かめたいことや、気持ちもあるんだけどね…」
外の空気を浴びる2年生。なんとなく…なんとなくですが、私はこの2年生の雰囲気が好きだったりします。後輩と先輩の間に挟まれ、でも1番グループの中で中堅的でパイプのような役割をしているのかと思えば、様々な場面に応じて重要なキーパーソンとなるこのポジショニング。
「じゃあさ、明日は会場集合にしてみんな自由行動にしない?」
「えっ?」
「みんなそれぞれ自由、行きたいところに行く」
「それ、良いと思う!」「でも…」
「本番前、一人になって自分を見つめ直す。私もそうしたいの」
梨子の想いを汲み取ってか、そんな提案をする千歌。と言っても、彼女自身も自分と向き合いたいんですよね。先程の聖良の質問に答えを未だに出せていないはずです。
Bメロ
「やっぱ凄いねー」
「本当にこんな所で歌うの?」
「声援聞こえるかな?」「聞こえるよー!その位大きな声で皆で応援するの!」
「そうだよ!浦の星だけじゃない」
「内浦の人皆来てるんだから、ねっ」
<宇宙一の応援>
今のAqoursを応援してくれる人は浦の星女学院の生徒だけではありません。その地域に住む人たちもまたAqoursの「輝き」を目にしようと、そして輝こうとしている。
<想いよひとつになれRiko's Piano Sonata〜海に還るもの>
音ノ木坂の音楽室でピアノを奏でる梨子の姿。自分の想いをその音色に乗せて…
「花丸ちゃんは…勝ちたい?」
「ずら?」
「ラブライブ、勝ちたい?」
「まるはずっとルビィちゃんと二人で図書室で本を読んでるだけで幸せだったけど…千歌ちゃん達のお陰で、外の世界に出られて、みんなと一緒なら色んなことが出来るって知ることが出来た。だから勝ちたいずら!それが今一番楽しいずら!千歌ちゃん、まるをスクールアイドルに誘ってくれてありがとう!」
千歌はメンバーへと問いかけます。みんなの想いを確かめるように…そして自分の気持ちに答えを出すために。
本だけでは経験できない実体験。見て、聴いて、触って感じて…それは本だけでは不可能なこと。「物語」は本の中で終わらせてはいけない。彼女自身の「物語」を紡ぐことが出来たのです。あの時、あの本をあのまま閉じてしまっていたならきっと花丸は本の中の世界の「物語」に満足するだけに留まってしまった。その世界に踏み入れ、手を伸ばし新たな世界へと導いてくれた千歌達の存在。Aqoursのみんなと一緒ならまだまだ知らない「物語」を知ることが出来る。だから「物語」を紡ぐためにも勝ちたいと望む花丸。
「ルビィは一人じゃ何も出来なかったのに、スクールアイドルになれてる!それだけでも嬉しい。勿論お姉ちゃん達の最後の大会だし、勝ちたいって思ってるけど、今は大好きなみんなと一緒に歌える事が一番嬉しい」
自分がやりたいことを素直に言う「勇気」を持つことが出来ず、燻っていた心を千歌たちは、そして花丸は背中を押して「勇気」を与えてくれた。2期第7話「限られた時間の中で」でも、彼女は3年生たちにとっては最後のラブライブ!だから優勝したい!と、人一倍3年生のために、お姉ちゃんのためにも勝ちたいという想いが強く、何よりも大好きなスクールアイドルをみんなと一緒にやりたい。だから1秒でも長く歌いたいと望むルビィ。
「えっ?あんたバカなの?そんなの勝ちたいに決まってるでしょ!世界中のリトルデーモン達に私の力を知らしめる為によ!ラブライブ!で勝利を手にするには我が力は不可欠…ま、仕方ない。もう少しAqoursとして堕天してやってもいいぞ」
「好き」なことを「好き」でいられること、そして自分のその「好き」を認めてくれる存在、居場所があること。その「好き」を今度はたくさんの人に知ってもらいたい。あなたも「好き」なものには「好き」でいていいんだよ。って、不器用ながらもその言葉の裏側には優しさがあったと思います。だから「好き」をもっと多くの人に知ってもらうために勝ちたいと望む善子。
「急にどうしたの?私はせっかくここまで来たんだし、勝ちたいかな。でもそれ以上に楽しみたい。本当は清々してるんだけどね。やっとこれで終わりだって。だから勝ちたい…今をもっともっと楽しみたいから…」
<みんなの願い>
2年という月日は果南にとって苦しい以外のものではなかったと思います。友を思い突き放したとは言え、それが本当に正しかったのかは分かりません。「友情」に対して貪欲であり、信じている彼女にとってみんなといる時間は、かけがえのないほど大切なものであり、これからへ羽ばたくための大きなエネルギー。それは彼女だけ唯一回想シーンだけではなく、現実で海へと向かい合って呟いたことからも分かると思います。だから「友情」を大切にするためにも勝ちたいと望む果南。
「勝ちたいかって?理事長としての私は全校生徒の為に勝たなければならないと思ってるよ。あんなにも愛されてる学校の為にも。でも少しだけ我儘を言うと…私はAqoursとして勝ちたい。9人でこんな事出来るなんて中々ないよ!えへっ」
2年のすれ違いを経て、そして大好きな浦の星女学院を救うため、理事長という立場について帰ってきた鞠莉は責任と常に隣り合わせだったはずです。廃校を阻止したい、あの日置いてきてしまった果南との友情を取り戻したい。長い遠回りをしてようやくその中で見つけた答え、もう誰かのためだけではなく「自分」を許していいんだと。9人いればなんでも出来るってこと。それを証明するためにも勝ちたいと望む鞠莉。
「勿論勝ちたいですわ。浦の星全校生徒の思いを背負って来ましたから。それと…Aqoursの黒澤ダイヤとして誠心誠意歌いたい。どこであろうと心を込めて歌を届けるのが、スクールアイドルとしての私の誇りですわ」
生徒会長として、そしてスクールアイドルとして誰よりもそのことを「誇り」に思ってきたダイヤ。生徒の想いを背負うだけではなく、自分自身の「誇り」のために歌を届けること。その気持ちに恥じぬパフォーマンスをすること。それこそが『黒澤ダイヤ』であり、その「誇り」を貫くために勝ちたいと望むダイヤ。
「千歌ちゃん、どうしてここに?」
「何となく。見ておきたくて」
「千歌ちゃんも?」
「え?じゃあ…」
「うん。だって始まりはここだったから」
始まりの地。全てはここから始まりました。
もし千歌が秋葉原を訪れていなかったら?
もしチラシを受け取ろうとしなかったら?
もし風が吹いてチラシが飛ばなかったら?
もしそれを追いかけなかったら?
その「もし」=「if」の世界があるだけで違う展開が待っていたのかもしれません。でも繋がった。「運命」に導かれて。彼女は「スクールアイドル」という出会いと、「Aqours」という大切なグループと。偶然という名の運命によって、彼女たちの「物語」は始まりました。
<Main theme of LoveLive! Sunshine!!>
1期第1話「輝きたい!」にて、始まりの始まり。千歌が輝きと出会うまでの過程を、道のりを、<舞い降りた奇跡>ではなくこのOST選曲。
このOSTは皆さんの耳にも聴き覚えがあるはずです。心を揺さぶり、これからのことに胸を膨らませ、ドキドキと鼓動が早くなり、熱い想いで満ち溢れる瞬間を。
「Aqours SUPER LIVE」
必ずLIVEの前に流れるこの曲がなければ始まりを感じないと思います。この曲だからこそ、メンバーが次々に登場して声援が上がって…「これこそがAqoursなんだ!」そう私たちの瞳に焼き付けてくれる…その曲をここに持ってきたこと自体がおかしいほど、でもしっくりくるんです。もし<舞い降りた奇跡>だったのなら、Aqoursの9人と出会う前の、ただのスクールアイドルとの出会いだけになってしまいます。この曲は、9人だからこそ意味があり、選曲をした上で重要なシーンでもあるわけです。
「見つかるかな。私があの時見つけたいと思った輝き…」
「きっと見つかるよ。もうすぐ、後少しで、必ず!」
あの時見た映像は…彼女がスクールアイドルの存在を知ったμ'sの「START;DASH」
そして、今その液晶画面に映るのはFINARIST「Aqours」の文字
あの時の輝きを追いかけて、走ってきた道のりは決して楽ではありませんでした。チラシが風によって右往左往し、縦横無尽に舞うように、時にぶつかり、悩み、支え合いながらたどり着いたその「輝き」
「ラブライブ!勝ちたい?」
「勿論。やっと一緒に出来たことだもん。だからいいんだよ、いつもの千歌ちゃんで…未来のことに臆病にならなくて…いいんだよ。一人じゃないよ、千歌ちゃんは」
「ありがとう」
ずっと同じ景色を見たかったと話していた曜にとって、スクールアイドルとの出会いはまさしく運命であり、その1歩を踏み出す「きっかけ」だったわけです。ずっと目の前を走る千歌の隣に立ち、同じ目線で見たい。この「きっかけ」を更に大きく、見た事のない景色を彼女と、そしてみんなと一緒に見たい。だからこれからもその景色を見るために勝ちたいと望む曜。
「梨子ちゃんは、ラブライブ!勝ちたい?」
「うん。私、自分が選んだ道が間違ってなかったって、心の底から思えた。辛くてピアノから逃げた私を救ってくれた千歌ちゃん達との出会いこそが奇跡だったんだって…だから勝ちたい!この道で良かったんだって証明したい!スクールアイドルをやりたい!!」
音ノ木坂学院でもう1度だけピアノへ触れ、弾くことが出来た梨子に迷いはありません。あの時置いてきてしまったものを本当の意味で取り戻すことが出来た。1度は逃げたピアノともう1度向き合い、また大好きなピアノを弾けるようになったこと。この「出会い」が間違いではないと証明したい。だからこそ千歌たちとの「出会い」を、そしてスクールアイドルをもっとやるために勝ちたいと望む梨子。
「千歌ちゃんは?」
「勝ちたい?」
他の8人全員に問いかけ、今度は千歌がその問いに答える番。
「その紙…」
「ゼロを1にして一歩一歩進んできて、そのままでいいんだよね。普通で、怪獣で!今があるんだよね!私も全力で勝ちたい!勝って輝きを見つけてみせる!」
文字がうっすらと消えかかった紙。それほどになるまでずっと持ち続けていたその紙を空へと掲げ、想いを言葉に乗せる千歌。自分を普通怪獣だと過小評価し続け、それで何かを見つけたくて、がむしゃらになって何度も挑戦し続けて、ようやく出会えた「輝き」スクールアイドルの先に見えた自分たちだけの「輝き」を見つけ、輝くこと。その輝きを見つけるために優勝したいと望む千歌。それが答え。
「絵馬に何て書いてきたの?」
「それは内緒ですわ。でも…私が書いたことは現実になるんですわよ」
「そういえば、私が転校するって話が出た時も書いてたでしょ"ずっと一緒"って。うふふっ」
「…そうかな?もうすぐバラバラになっちゃうのに…」
「一緒だよ!!だって、この空は繋がってるよ。どんなに遠くてもずっと、いつでも!」
「姿は見えなくとも」
会場への道のりを歩く3人。最初は果南1人、そしてダイヤ、鞠莉と徐々に合流していく様子は、これまで離れ離れで過ごしてきた月日を表しているようにも感じました。ダイヤが書いたことは、実現する。それは1期第3話「ファーストステップ」にて千歌たちが海岸に書かれた「Aqours」の文字を見て名前を決めた時のこと。
これは後の1期第9話「未熟DREAMER」にて、ダイヤが海岸に書いたことが分かります。
彼女が書いたことは現実になる、間違いないですね。ずっと一緒という言葉に引っかかりを覚える果南。そんな果南の不安を吹き飛ばすように空を見上げる鞠莉。この空は繋がってる…この言葉を聞くと2つの歌詞が思い浮かびました。
君の描く未来に
私はいるのかな
同じ空を 同じ想いで
見上げていたいよ
もう少しだけ あと少しだけ
本当はここにいたいよ
だけどもう行かなくちゃ
どんなに離れても
空は繋がってるよね
これからもずっとずっと
yes, my lovely place
どちらも片側からの一方通行での想いのようにも感じますが…最初は誰だって片側からの想いだと思うんですよね。例えば好きな人が出来た時、伝えられて初めて繋がれるわけですから。それに…1期11話「友情ヨーソロー」でも言葉に出して初めて2人の気持ちは強く…強く結ばれることが出来た。それと同じように言葉として、文字としてしっかりと残すこと…ダイヤの願いが具現化している部分であると思います。だからこそ、彼女たちの想いは永遠に、この空の元に繋がっているわけですね。
「契約です。ライブが終わり、学校が統廃合になってもヨハネとの契約は…」
「心配しなくても、まると善子ちゃんとルビィちゃんの契約は絶対ずら」
「新しい場所になっても」
「ふん、何よ人のセリフ勝手に」
「ありがとう」
「感謝すルビィ!」
やっと自分の羽根を休めることの出来る安息の場所を見つけた。けれども、統廃合によってまた孤立してしまったら…。そんな不安から2人へ「契約」という名の約束をしようと試みる善子。そんな彼女の「契約」を既に結ばれていると断言する花丸とルビィ。走り際に善子へと「感謝」の想いを告げる2人に、私はずるい…ずるいよ…とうるうるとしていました。
「そんなもの感じなくてもいいのに…少なくとも私は感謝しか…」
2期第7話「限られた時間の中で」にて、善子の本音が零れた場面。彼女にとってAqoursに対しての感謝ばかりでしたが、こうして改めて2人に「ありがとう」という言葉を貰うのは、自分は認められているんだ、これからも一緒にいてくれるんだ、と自分はAqoursの一員であることに誇りに思えた瞬間だと思います。
「何かドキドキする!」
「どの位大きいんだろう!」
「全然想像つかないわね!」
「ずら!」
「時間ぴったりね」
「この先にあるんだよね、どぅーむが!」
「その通りですわ」
「アキバドーム、全国でも有数の規模を誇る会場!」
「ラブライブ!FINAL!!」
「どのくらい走ったのかな…どこまで来たのかな…どこまで続くのかな…。分からないけど、あの時と今思っていること全てがあってここに辿り着けたんだと思う。雲の上だって、空を飛んでるみたいだって、思いっきり楽しもう!はじけよう!そして優勝しよう!私達の輝きと証を見つけに!さぁ行くよ!」
<0から1へ、1からその先へ!>
最高の舞台へと向けて走り始めた彼女たち。初めは3人、6人、そして9人。小さな羽根をめいいっぱいにばたつかせて、がむしゃらに、「輝き」を目指して駆けてきた彼女たちの道筋は何度も何度も塗り替えられていってしまうけれども、その道筋があったからこそ、今の彼女たちがいるのですね。「起こること全てを楽しむ」「起こそうキセキを!」「足掻こう精一杯!」「みんなで輝こう!!」その道を歩んできた姿はまさに「輝き」そのもの。
一心に走るその横顔は、何よりも光り輝く宝石のよう。その表情が私たちにこの先待ち受けているのは何なのか、ドキドキが生まれる。
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「7!」
「8!」
「9!」
「0から1へ!1からその先へ!Aqours!」
「輝き」を見つけに、0を1にして、そしてその先に向かって…
「サーンシャイーン!!」
「輝こう!」
WATER BLUE NEW WORLD
今は今で 昨日と違うよ
明日への 途中じゃなく 今は今だね
この瞬間のことが
重なっては 消えてく
心に刻むんだ
WATER BLUE
雲の上。空想上のような幻想的な世界で、彼女たちは天女の如く舞踊り、歌う姿。今回の衣装のイメージは、白鳥、黒鳥、童話に出てくるような感じでしょうか?鞠莉は女王様、花丸はヘンゼル、梨子はプリンセスといった感じですが、未だにこの衣装の共通コンセプトは分かりません。
この瞬間、歴史的瞬間を刻むため、浦の星女学院の名を、Aqoursの名を刻むため、そして「輝き」を見つける航海が始まりました。
その瞬間を見守るSaint Snowの2人、そしてその2人に笑いかける内浦の人々。
そしてそのLIVE配信に気付いた小さな夢たち。
悔やみたくなかった 気持ちの先に
広がった世界を 泳いできたのさ
諦めない
言うだけでは叶わない
動け
動けば変わるんだ と知ったよ
廃校を阻止するために、「足掻こう!」そう決めて、学校説明会とラブライブ!予選大会が被ったとしても、「キセキ」を起こし、どちらも勝ち取った。言うだけじゃない、行動へと移すこと。「ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている。なんとかしたい、何かを変えたい!それだけのことかもしれない!だから…!」
ずっと ここにいたいと 思ってるけど
きっと 旅立ってくって わかってるんだよ
だから この時を楽しくしたい
最高の ときめきを
胸に焼き付けたいから
3年生の決意。そして浦の星女学院の別れ。寂しくて、悲しくても、今だけは、今だけは楽しみたい。この景色を、時間を、心に刻むために、彼女たちは歌う。
小さな雛鳥が、殻を破るように大きな翼をはためかせ、羽根を落としていく。
その想いは、具現化し、見ている人全てに「輝き」を与え、そして夢が生まれる。見ていた彼女たちは、もしかしたらスクールアイドルに憧れを抱いたのかも知れません。あの頃の千歌のように。
MY NEW WORLD 新しい場所
探す時がきたよ
次の輝きへと 海を 渡ろう
一筋の流星。願いを叶えるために、願うだけではない、自分から飛び出すこと。新しい世界にある自分たちだけの「輝きへの航海」に出航すること。
夢が見たい想いは
いつでも僕たちを
繋いでくれるから 笑っていこう
ソロショットにて、千歌以外の全員がウィンクを決める。このLIVEがどれほど楽しくて、心踊るものなのか、私たちに語りかけてくるよう。
今を重ね そして
未来へ向かおう
やり切ったと満足げな表情の千歌。
彼女たちが見つけた光の海…それはサイリウムの光。
WATER BLUE=Aqours色に染まるこの会場が、この景色こそが彼女たちにとっての光の海だったんですよね。
間奏(感想)
今回取り上げたいのは、こちら。
チラシと、そして1枚の結果表。
厚さ1mmにも満たない、誰も気に止めない、ただ廃棄してリサイクルするもの。すぐに折れ、濡れたり、破けたりしてしまう。風に攫われ、右往左往、縦横無尽、風に身を任せるだけのただの紙っぺら。
その考えだと思います。
ですが、ここで「梨子ちゃん解釈」(勝手に呼び名をつけました)をしてみましょう。2期第5話「犬を拾う。」にてこんなことを言っていました。
「色んな人が、色んな思いを抱いて、その思いが見えない力になって、引き寄せられて…運命のように出会う…。全てに、意味がある。そう思えば素敵じゃない?」
この解釈で見ますと、このチラシは、ただのチラシなんかじゃない。拡大解釈ではありますが、これは千歌を「スクールアイドル」という輝きに導いた存在なのかなと思いました。彼女の手から離れ、風に煽られ、そのチラシを追いかけた先で彼女は「スクールアイドル」と出会った。
もうひとつ、結果表に関して。
破ることも、捨てることもせず、ずっと大切に部室へと飾っていたもの。この表を見る度に誓っていたのでしょう。あの日0だったものを1にしようと。それが彼女たちの活動のエネルギーとなっていたはずです。
そして、その紙は風に攫われ、空の彼方へと消えていきました。
「ありがとう、ばいばい」
それは「決別」
今までその紙にすがりつくという表現はおかしいですが、彼女たちはその紙を見て、その悔しさに引っ張られるだけの存在ではない。「普通で、怪獣でいいんだ」と、「自覚」が生まれたわけです。だからこそ、そのことを気づかせるこの結果表の存在に頼らなくていい。
「決別」と同時に彼女たち自身を「成長」させてくれた。
千歌はそのことに対して、感謝と別れの言葉を言ったのかな?と私は考えています。
アウトロ
一言申しますと…「眩しいぜ」
誰だよって。彼女たちが笑う度に、泣く度に、輝く度に、眩しいって感じるんです。それに…「Aqours」色を、WATER BLUEと表現されたところだとか、気持ちの込められた歌声だとか、1話のオマージュポイントだったりと、本当に終わりが近づいているんだと同時に考えさせられて…あまり言葉に力が乗らないというのもありますね。
さて、第13話はどんな輝きになるのか、彼女たちが見つけた輝きはなんなのか、本当に最後の最後、死にものぐるいで向き合っていきたいと思います。
次回「私たちの輝き」
「彼女たちが見つけた輝き」