私は…歌に色があると信じている派だ。
信じているか否か、など些かなんてことない話かもしれないが、歌というのは、実際に目に見えないのだ。
もちろん楽譜や歌詞という視覚情報もあるが、大多数は聴覚から入り込み、人々の心を突き動かすことが多いだろう。
手軽に聴ける歌。すっとイヤホンを耳に入れれば、別世界へと連れて行ってくれる魔法の呪文。
そこに携わる膨大な人たちの努力と愛の結晶は、私たちに多くの感性をもたらしてくれる。
そんな歌に色はあるのか、と問われれば、目に見えないものなのだから、色なんて分からないじゃないか、と言う人が多いだろう。
でも…それは違うんだよ、と声を大にして言いたい。彼女の歌は「ヒカリイロの歌」なんだ、と言いたい。
とある…いちオタクの声でしかなく、その文章は拙いだろう。それでも、あの一瞬に私の心に刻まれた「色」について、どうか語らせてほしい。
初めに
Aqoursの小原鞠莉役としても知られる鈴木愛奈さんが、ついにソロデビュー。そのデビューアルバム『ring A ring』に収録の「ヒカリイロの歌」のMVが先日公開されました。
Aqoursの中でも随一の歌唱力を誇る彼女。ライブでも度々その歌声について、私は言及してきました。
歌声の暴力、と言い方は悪いが、そう称している彼女の歌声は、聴いた人全てを圧倒し、その世界へと引きずり込んでいく。
あっという間に、彼女が持つ歌声に惹かれてしまう。私もその1人でした。
そんな彼女のソロデビューは、私にとっても待ち遠しいものでありました。もちろんAqoursの中でも、鈴木さんを1番に応援している方々にとっては、この上なく幸せなことであり、歓喜の声や涙を流したことでしょう。
などと語り始めると長くなるため、さっそく歌詞へと目を向けていきたいと思います。
もう1つだけ。ここでは個人的な解釈も入ってきますので、間違ったことも言う可能性がある、ということを先に言っておきます。
1番Aメロ
始まるよ 私の道
一つのミライ 秘めたヒカリを 解き放った
この笑顔を守りたい。そう私は言いたい。それだけでいいじゃないか。感想なんて。
そうじゃない、と言う心の片隅の声が聴こえるので、真面目に語ります。
愛奈らしさ、というと些かフレンドリーすぎるが故、あいにゃとも言うべきなのか…いや、それも中々に私にとっては辛いものがあります。
だから、鈴木さんと呼ぶことにします。鈴木さん、鈴木さんとうるさくなるかもしれませんが、そこには目を瞑って頂ければな、と思います。
この楽曲は、鈴木さんらしさの詰まった、鈴木さんにしか歌えない曲だなと思いました。
フレーズからも感じる「始まり」
ここから彼女の物語は始まるのかもしれませんが、彼女の物語はあの時から紡がれ続けてきたのでしょう。
あの時というのは、第7回全日本アニソングランプリ決勝大会です。
夢かなえたいです。
そう涙を零しながらも語る彼女。アニソンシンガーへの熱い想いがひしひしと伝わる言葉に、感情を揺さぶられたのをよく覚えています。
それほどまでに彼女が歌にかける「想い」というものは大きいのだと感じました。
探していたんだよ夢の最果てを
見つけるために
もっと輝きたくって過去の私が 祈ったいつかの日々
まだ遠いけれど追いつくんだ
あの時の夢、アニソンシンガーになるという夢を叶えてもなお、彼女の夢は留まることはないでしょう。
ここから、彼女の"夢"は始まったのです。
Bメロ
キセキなんて言葉じゃ曖昧すぎて照れくさい
永遠も一瞬もない 時間軸一歩一歩進むよ この声と
「この声」というのは、彼女自身の声。
自分の声に対して、鈴木さんはこんなことを話していました。
「『自分がみんなの力になれる部分って何だろう?』って考えたときに、特にライブでは『のどからCD音源を出すぞ』っていう意気込みで歌っているし、『愛奈が歌ってると次に歌うところの音程がわかる』って言ってもらえると、『みんなの力になれてる、よかったなあ』と思います」
ーDA VINCI NO.288 APRIL2018
自分がみんなの力になれる部分、それは声だ!と話していました。自分の歌声が、鈴木さんにとっては大きな武器なんですね。
サビ
ねえこの痛みの先に 何が待ってても
もう一回 そうもう一回
今日も輝くんだそう広がった景色を 言葉にするから
何十回でも 何百回だって
響かせてみよう
さっきまで君の笑顔を守りたい、と言っていたはずが…べらぼうにかっこいい鈴木さんに守られたいな、って思っちゃいました。
森林の中を、森の妖精かのように微笑む鈴木さん。
虹色のベールに包まれ歌う神秘的な鈴木さん。
灯り少ない暗闇で、ただ真っ直ぐに自分の想いを歌い上げる鈴木さん。
どの顔も、どの表情も、全て彼女を見事に体現していて、まさしく彼女のために作られたMVだと思います。
2番Aメロ
愛って何色をしてるかな
秘めたヒカリを 解き放った
これってなかなかに意味深い歌詞ですよね。
「愛」って「何色」をしてるかな
なんてずるいですよ。
鈴木愛奈さんの「愛」も混じっていますし、彼女のうちに秘められた「ヒカリ」というのも、タイトルの「ヒカリイロ」と重なっていますし…面白いですね。
空に集まった 青の結晶は
いくつもの願いを吸い込んだだろう些細な出会いが重なって弾ける
舞い散ったものを星と呼ぼう
白い花…これは、恐らくですが「ランタナ」という花だと思われます。
間違っていたら、本当にすみません。花のオタクではないので、どうしても確証は持てませんが、花の形や花弁の枚数、色、葉っぱから判断しました。
「ランタナ」と言うよりは「シチヘンゲ」と言えば馴染みあるかもしれませんね。花言葉は「心変わり」
彼女のソロとしても心構えを表しているようにも思えます。
そして「空に集まった青の結晶」という歌詞。まるで、彼女が属しているAqoursを思わせるかのようなフレーズです。
作詞の方は、そこまで汲んでこの歌詞を入れたのかは定かではありませんが、Aqoursを想起させるような歌詞となっています。
Bメロ
はじめまして
新しい私が描く世界地図いつもと違う靴を履いたなら
キュンと胸が躍る 出掛けましょう
すーっ、ふーっ。
新しい鈴木さんですね…Aqoursではあまり見ることのない、真剣さを帯びた表情。
あー、見ないわけではないです。言うならば「New winding road」の歌い方に近いような表情です。
彼女にとって、デビューしてこれから歩む道というのは、未だ誰も歩いたことのない場所。言うならば、世界地図上にも描かれていない道です。
そんな道に対しての鈴木さんの期待、というか希望を見出す部分が表現されているのかな、と感じました。
サビ
ああ 幻みたいだね
夢みたいだよねどんな時も どんな瞬間も
宝なんだねえ伝わっているなら 私の思いを
何十回でも何百回だって
届けてみせたい
暗闇を照らす一筋のヒカリのように、彼女は歌う。
この時を、瞬間を宝物にするために。
そして、想いを「歌」で届けるために、彼女は歌う。その歌声が、いつも以上に私の心には突き刺さりました。
Aqoursにおける鈴木さんの歌声しか私は聴いたことがありませんが、小原鞠莉としてだけでなく、彼女自身の声が飛び出ている時は何度かあって…それは、民謡で培われた歌声だったりするのだと思いますが、その歌声が心に引っかかります。
それは悪い意味ではなく、なんというか…気になる存在、というか、思わずそちらを向いてしまうような…そんな音色。
その後に入るフェイク。
歌声の暴力(いい意味です)とも言えるこの声は、どれだけ人を巻き込めばいいのでしょうか。人を巻き込んでは、更なる旋風を呼び、より多くの人を魅了していく。
彼女の歌声には、それだけの力があると私は思っています。
Cメロ
ただの石ころでも(誰かとの出会いが)
不器用な私を(輝かせてくれる)一人じゃ出来ないこと
やってみたいよキミと
ただの石ころ。それは誰だって一緒で、だけど違うものだってある。
それは「磨けば光る原石」だということ。
そして「誰かとの出会い」と歌うフレーズには、沢山の意味合いが含まれていると思います。
家族、友達、事務所やマネージャー、オーディションとの出会い、アニソンシンガーを志したきっかけ、ファン…などなど多々ある要因の中で、私は真っ先に浮かんだ女の子がいました。
それが…ラブライブ!サンシャイン!!で鈴木さんが演じている小原鞠莉ちゃんです。
1stライブが終わった後、彼女はこんなツイートをしていました。
長いですが、1stライブの感想を書かせて頂きました♪
— 鈴木愛奈 (@aina_suzuki723) February 28, 2017
そして皆様から頂いた沢山のお手紙、お花やプレゼント、全部私の大切な宝物です。本当にありがとうございました!!!!✨✨ pic.twitter.com/wJnhSb0PlG
「小原鞠莉が、私を横浜アリーナに連れてってくれた」と、彼女はそう言いました。
マリーを輝かせたい一心で、不器用な自分なり輝きを追い求めて…いつしか自分自身が輝くようになっていきました。
今の彼女を見ると…まさしく「ヒカリ」そのもののような気がします。シャイニーな女の子に出会ったことで、彼女は沢山の経験をしたと思います。
もちろんこれはあくまで私の個人的な感想でしかありませんが、もしこのフレーズが小原鞠莉ちゃんへのリスペクトだったら、嬉しいなぁ…なんて。
ラスサビ
ねえこの痛みの先に 何が待ってても
もう一回 そう もう一回
今日も輝くんだそう広がった景色を 言葉にするから
さあ 私の声を聞いて
終わりと始まり。
無透明色だった世界が色付く瞬間。
彼女が歌う歌声、いや「ヒカリイロの歌」が世界を彩っていく。まるで、その世界からヒカリが広がっていくように、伝わっていくかのように…新しい世界へと繋がっていく。
そんな予感がしました。
目に見えない色も、いつか目に見える色となる。
私にとって、彼女の歌声に色が付いて、目に見える色となったのは、この瞬間でした。
ああ 音が光ってゆく
私のミライも
何十回でも何百回だって
輝くんだ
広々と、大地が広がり、大空を味方につけ、高らかに歌い上げる彼女の姿は「ヒカリ」そのもの。
「音」に色を付ける「ヒカリ」
「人々」を照らす「ヒカリ」
「何百回」でも輝く「ヒカリ」
私の世界にも、彼女の「ヒカリ」は届きました。
ねえ伝わっているかな
私の思いを
きっと君に もっと君と
感じ合いたいだけ
熱い想いを歌うかのように、情熱に、かつこれからの未来への希望を歌う鈴木さん。
これからも彼女の思いを受け止めたい。
同時に、私も彼女への思いをぶつけたい。
そう強く感じました。私に出来ること、それはもっと多くの人に彼女のことを伝えることです。
得意なこと、というか好きなことと言えばこういう風にブログを書くことです。1人でも見る方がいるなら、私は伝え続けます。彼女の歌声が持つ「ヒカリイロ」のことを。
愛って 何色をしてるかな
秘めたヒカリを 解き放った
鈴木さんの歌声「ヒカリイロ」の歌は世界を色付けました。彼女が手を差し伸べた光の先には、一体何が待っているのか。
終わりに
後に作詞を担当したZAQさんはこう語りました。
歌手・鈴木愛奈の道はここから始まり、その道がどんな風に、何色に輝いていくのか…。
— ZAQ@KURUIZAQ2019 (@zaxic_r) November 2, 2019
謙虚でどこか不安げにも見える彼女が「歌では絶対負けない」と胸を張って言えるような歌になって欲しくて書きました。
鈴木愛奈さんの未来が、ヒカリ輝きますように。
「ヒカリイロの歌」よろしくお願いします。
『「歌では絶対負けない」と胸を張って言えるような歌になって欲しくて書きました』
そう語るZAQさん。ZAQさんが仰る通り、鈴木さんは謙虚で、少し危うげで…なんだか放っておけないような存在です。
AqoursのライブのMCでも、なんとなく…保護者目線で見てしまうこともしばしばないわけではないです。
鈴木愛奈という色は、まだ完成ではないと思います。
鈴木さんの持つ歌声が「ヒカリイロ」だとして、その「ヒカリイロ」はこれからも七変化していくはずです。
彼女の行先は茨の道なのか、それとも水溜まりが飛び散るような道なのか、はたまた光差し込む神秘的で幻想的な道なのか…私には想像出来ません。
それでも、彼女は「ヒカリイロの歌」で、人々を照らすため、想いを届けるため、一歩を歩み始めました。
彼女の行先に栄光がありますように。
そして、誰かを導くヒカリとなりますように。